第2話で50代の「業」を自覚した俺が、次に行ったのは、迷いという名の時間損失を断つための「選定」だった。
「教科書選びでつまづく奴は、その時点で負けている」
身も蓋もない言い方だが、これが真実だ。基礎をないがしろにするわけじゃない。だが、合格への階段の、まだ一歩目にも満たない場所で、いつまでも靴紐を結び直している暇はないのだ。
名の通った予備校や出版社のものなら、中身に大差はない。もし内容が酷ければ、Amazonの書評という名の公開処刑場で、すでに叩き潰されているはずだからだ。
俺が実行し、あるいは検討した「教科書選定の戦略」をここに開示する。
1. Amazonの書評という「他人の眼力」を盗む
俺はこの方法を選んだ。一歩も外に出ることなく、居ながらにして選別を完了させる。 だが、注意しろ。書評を読み漁る作業は、魂を摩耗させる。読み終えた頃には、どれも正しく、どれも間違っているように見えてくる。
俺はインスピレーションで狙いを定め、数件の書評を斜め読みして、迷わず決済ボタンを押した。「アッチにすべきだった」という後悔など、合格してしまえば笑い話にすらならないゴミだ。
2. 書店で実物を「検品」する
最も堅実だが、ここには「コストの罠」がある。 比較のために大型書店へ向かう往復の交通費……それを計算してみたか? その数百円があれば、ヤフオクで予想問題集やチェックノートが買えてしまう。
現場仕事の帰りや、別の買い物ついでに立ち寄れるならいい。だが、教科書選びのためだけに電車に揺られるのは、俺の美学に反する。独学とは、徹底したコスト管理から始まる戦いなのだ。
3. 公立図書館という「聖域」を利用する
もし、近所の図書館に在庫があるなら、あなたは幸運だ。 まずは蔵書検索をしてみることだ。図書館カードを持っていないなら、散歩ついでに作っておけ。公共施設という名の「俺たちの税金」を回収するチャンスだ。
借りてみて、自分に合うか試してから買う。あるいは、最新版でないリスクを承知で、知識の骨格を作るために使い倒すのも一つの手だろう。
結び:自分好みの「盾」を、今すぐ掴め
3,000円程度の出費だ。新品という名の免罪符を手に取るか、中古という名の戦利品で戦うか。どちらでもいい。
大切なのは、今この瞬間に「一冊を決める」という決断を下すことだ。 いつまでも「信号が変わる」のを待っている奴に、合格という名の地平は見えてこない。
俺は、第1話で記した通り、3,300円の「新品の教科書」を決済した。それが、迷いを断ち切るための最初の儀式だった。

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