【現場】アラ還2号警備員の生存報告– category –
路上から社会を照射する。現場のプロに学ぶ生存術、2号現場のあれこれ、そして最前線の地べたから問い直すリベラルアーツ。
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【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【沈潜】規律と澱(おり):八王子、朝光の京王線にて
八王子の夜勤現場が終わり、支給の防寒着を丸めてリュックに詰め込んだ。代わりに、底に押し込んでいた私服のダウンを引き出し、袖を通す。手早く着替えて駅へと急いだ。新宿行きの京王線、ロングシートの中ほど。隣にはこの現場の隊長、KOさんが座ってい... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【覚悟】アラ還の仕事探し体験記:採用から現場配属までの実際
1. 媒体選びと応募の背景 仕事探しには『バイトル』を中心に、複数のアプリや無料情報誌『イーアイデム』を参考にした。年齢(アラ還)、手に職がない、そして運転免許はあれど運転は上手くない(配送ドライバーやタクシー運転手は当初から断念)という背... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【生存】奴隷の首輪と、自前の翼
1. 呼び名の境界線 現場には、年齢という物差しを無効化する「経験」という名の絶対的な階級がある。 年下のベテランに「君」呼ばわりされる。それはまだいい。彼らが現場の理(ことわり)を叩き込んでくれる以上、そこには敬意が介在しているからだ。 ... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【慇懃】「信号がかわります」(二枚舌の呪文)
港区の再開発地区。そこは、ゴミ一つ落ちていない不気味なほどに清潔な空間だ。巨大な重機が鎮座し、無機質な存在感を放つその場所では、人間の生活臭すらも「汚れ」として排除されている。 周囲には、乾燥した、喉の奥に張り付くような空気が停滞している... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【寸景】バック、ハクモクレン、そして青い空
目黒の入り組んだ住宅地での水道工事の現場。俺の任務は、工事現場から少し離れた車両2台がやっと擦れ違える狭い道で、路上駐車したダンプの前後にコーンとバーを設置し、また枝道からの車両を捌くことだった。 ダンプの運転手が近づいてくる。 その男は、... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【安寧】生温い沼(同化への恐怖)
現場は品川の閑静な住宅街だった。高台に並ぶ邸宅の合間を、冬の湿った風が吹き抜ける。目の前を、ベンツやポルシェ、黒塗りのアルファードといった高級車が静かに通り過ぎていく。この高台に住まう者たちの豊かさと、地べたに立つ俺の現実。その鮮明すぎ... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【帰還】深夜の独走
夜勤は電車の始発すら遠い時刻に終わることがある。静寂が支配する街から、自力で脱出するための唯一の手段、それがレンタル自転車だ。それはもはや都市の新しいインフラといっても良いサービスだ。その中で俺は、赤チャリで名を馳せた「バイクシェア」と... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【虚像】サボり(という名の精神的腐食)
810kHz。 チューニングを合わせたラジオから流れてくるのは、湿り気のない、乾いたアメリカの風だ。 AFNから溢れ出すハイテンションなDJの英語と、最新のビルボードチャート。それを飽和して虚無に変わるまで聴き続けていた。誰にも悟られぬよう、イヤホン... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【矜持】待つのも仕事。現場という名の「空白」
そこは、俺の住処から歩いて行ける距離にある、稀な現場だった。 だが、直線距離で2キロをわずかに超えるその道のりを、俺はあえて電車賃として経費に計上する。微々たる額だが、これもまた「生存戦略」のひとつだ。「まあ、いいやね。みんなそうしてるし... -
【現場】アラ還2号警備員の生存報告
【修正】朝の重力とバカルディのグラス ―― 58歳、資産ゼロからの再武装
毎朝、絶望感とともに目が覚める。 2号警備の現場に立ち、排気ガスと凍てつく底冷えに身をさらし、うまい具合に疲れ果てて眠りについたはずなのに、覚醒の瞬間、それは容赦なく始まる。 呼吸が浅い時は、絶望感がよりひどい。 胸の奥が詰まり、やり場のな...
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